(1)NATとは
NAT(Network Address Translation)とは、
プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互に変換する仕組みである。
IPv4アドレスの枯渇に対応するため、
企業ネットワークや家庭LANで広く利用されている。
NAT変換の種類(※CCNA重要)
NAT変換の種類
・スタティックNAT(Static NAT):1対1
・ダイナミックNAT(Dynamic NAT):多対多
・PAT(NAPT / NAT Overload):多対1
- PAT と NAPT はほぼ同義
- CCNAでは PAT = NAT Overload として出題されることが多い
- 現在の主流は PAT
NATで使われる4種類のアドレス
NATでは、通信に関わるアドレスを以下の4種類で整理する。
内部ローカルアドレス(Inside Local)
- 内部ネットワークで使用されるアドレス
- 送信元PCのプライベートIPアドレスであることが多い
例:192.168.1.10
内部グローバルアドレス(Inside Global)
- 内部ローカルアドレスが 外部に出る際に変換されたアドレス
- 通常は ルータの外部インターフェースのグローバルIP
例:203.0.113.1
外部グローバルアドレス(Outside Global)
- 外部ネットワーク側で実際に使われているアドレス
- 通信相手(Webサーバなど)のグローバルIP
例:198.51.100.10
外部ローカルアドレス(Outside Local)
- 外部グローバルアドレスを 内部ネットワークから見たときのアドレス
- 多くの場合、外部グローバルアドレスと同じ
📌 試験で非常に引っかけられやすいポイント
📌 アドレス整理のコツ(暗記法)
- inside / outside
→ どちらのネットワークか - local / global
→ どこから見たアドレスか
(2)NATの目的
NATの主な目的は以下の3点である。
① グローバルIPアドレスの節約
- IPv4アドレスは枯渇している
- 多数の端末を 1つまたは少数のグローバルIP でインターネット接続できる
② 内部ネットワーク構成の隠蔽
- 内部IPアドレスを外部に公開しない
- 簡易的なセキュリティ効果がある
③ プライベートIPアドレスの利用
- RFC1918で定義されたアドレスを内部で自由に利用可能
- 企業・家庭LANで標準的に使用されている
(3)NATの仕組み
NATルータは、通信時に NATテーブル を作成してアドレス変換を管理する。
通信の流れ(PATの例)
- 内部PC(192.168.1.10)がWebサーバへ通信
- 送信元IPを 内部グローバルアドレス に変換
- 変換内容をNATテーブルに記録
- 戻り通信をNATテーブルで照合
- 宛先IPを元の 内部ローカルアドレス に戻す
📌 PAT(NAT Overload)の場合は
IPアドレス + ポート番号 をセットで変換する。
(4)NATの設定(Ciscoコマンド)
◾️ スタティックNATの設定
NAT変換テーブルの作成
(config)# ip nat inside source 192.168.1.10 198.51.100.10
- 192.168.1.10:内部ローカルアドレス
- 198.51.100.10:内部グローバルアドレス
📌 Static NAT は inside → inside の指定
インターフェースの指定
interface GigabitEthernet0/0
ip nat inside
interface GigabitEthernet0/1
ip nat outside
- 内部側:
ip nat inside - 外部側:
ip nat outside
◾️ダイナミックNATの設定コマンド例
① 変換対象となる内部ローカルアドレスをACLで指定
(config)# access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255
192.168.1.0:内部ローカルアドレス0.0.0.255:ワイルドカードマスク
📌 「192.168.1.00」は誤記なので「192.168.1.0」が正解
② グローバルIPアドレスのプールを作成
(config)# ip nat pool POOL-1 198.51.100.11 198.51.100.14 netmask 255.255.255.0
POOL-1:NATプール名198.51.100.11 ~ 198.51.100.14:内部グローバルアドレスの範囲netmask:グローバルIP側のサブネットマスク
📌 Dynamic NAT は「多対多」
→ 同時接続数は プール数まで
③ ACLとNATプールを紐づけ
(config)# ip nat inside source list 1 pool POOL-1
- ACL 1 に一致した内部アドレスを
- NATプール
POOL-1から動的に割り当て
📌 overload が無い=Dynamic NAT
④ インターフェースの指定
(config)# interface GigabitEthernet0/0
(config-if)# ip nat inside
(config)# interface GigabitEthernet0/1
(config-if)# ip nat outside
- 内部側インターフェース →
ip nat inside - 外部側インターフェース →
ip nat outside
ダイナミックNATの特徴(整理)
- 多対多(Many to Many)
- グローバルIPは プールから動的に割当
- 同時接続数は プールサイズに依存
- ポート番号は変換しない
CCNAひっかけ注意(Dynamic NAT)
📌 Dynamic NAT では使わないもの
overload❌- ポート番号変換 ❌
📌 使うもの
ip nat poolip nat inside source list ○ pool ○
PATとの比較(試験向け)
| 項目 | Dynamic NAT | PAT |
|---|---|---|
| 対応関係 | 多対多 | 多対1 |
| IP消費 | 多い | 少ない |
| overload | なし | あり |
| 現在の主流 | △ |
◾️ PAT(NAT Overload)の設定例
(config)# access-list 1 permit 192.168.1.0 0.0.0.255
(config)# ip nat inside source list 1 interface GigabitEthernet0/1 overload
192.168.1.0:内部ローカルアドレス0.0.0.255:ワイルドカードマスクoverload:PATを有効化
◾️ 確認コマンド(CCNA頻出)
show ip nat translations
・内部グローバルアドレス
・内部ローカルアドレス
・外部グローバルアドレス
・外部ローカルアドレス
show ip nat statistics
📌 出力結果の読解問題が非常に多い
CCNA NATひっかけ問題3選
① PATの対応関係はどれか?
選択肢例
- A:1対1
- B:1対多
- C:多対多
- D:多対1
✅ 正解:D(多対1)
📌 PAT = NAT Overload = 多対1
② Static NATで指定するアドレスの組み合わせは?
ip nat inside source 192.168.1.10 198.51.100.10
- A:内部ローカル → 外部ローカル
- B:内部ローカル → 内部グローバル
- C:外部ローカル → 外部グローバル
✅ 正解:B
📌 outside 系アドレスは このコマンドでは指定しない
③ Outside Local はどれか?
条件
- 外部Webサーバ:
198.51.100.10
選択肢
- A:192.168.1.10
- B:203.0.113.1
- C:198.51.100.10
✅ 正解:C
📌 Outside Local は
内部ネットワークから見た外部アドレス
→ 多くの場合 Outside Global と同じ
まとめ
- NATは IPv4ネットワークを支える重要技術
- 4つのアドレスの関係理解が最重要
- CCNAでは
概念 → 仕組み → 設定 → 確認 → ひっかけ対策
まで問われる


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