インターネットでデータが目的地に届くのは、ルーターが持つルーティングテーブルのおかげです。この記事では、このテーブルの役割、種類、そして経路を決定する仕組みについて、分かりやすく解説します!
🗺️ルーティングテーブルとは?
ルーティングテーブルとは、ルーターがパケット(データ)を受け取った際に、「このパケットをどこへ、どの経路で送るべきか」を判断するための道案内の表です。
テーブルに登録される主な情報
ルーターはこの情報を基に、次にパケットを送るべき場所を判断します。
- 送信先ネットワークアドレス:パケットの最終的な目的地(ネットワーク)。
- ネクストホップアドレス:パケットを次に送るべきルーターのIPアドレス。
- 出力インターフェース:パケットを送り出すルーター自身のポート。
🚦ルーティングテーブルの種類 3つ
ルーティングテーブルのエントリー(経路情報)は、主に以下の3つの方法で登録されます。
1. 直接接続ルート(直接確認ルート)
ルーターのインターフェースに直接接続されているネットワークの情報です。ルーターが自動的に認識し、登録します。最も信頼性の高い経路情報です。
2. スタティックルート(手動設定)
ネットワーク管理者が手動で設定する固定の経路情報です。
| メリット | デメリット |
| ✅ 意図しないルートを経由しないため、セキュリティ面で優れている。 | ❌ 手間がかかる。ネットワーク構成の変更に対応しにくい。 |
| メリット | デメリット |
| ✅ 意図しないルートを経由しないため、セキュリティ面で優れている。 | ❌ 手間がかかる。ネットワーク構成の変更に対応しにくい。 |
📊 ルーティング指定方法の比較表
| ルーティング種別 | 概要 | 指定内容 | 特徴・ポイント | 設定コマンド例(Cisco) |
|---|---|---|---|---|
| 直接接続(Directly Connected Static Route) | 宛先ネットワークへの出力インターフェースのみを指定する方式 | 出力インターフェース | ・ネクストホップ解決が不要・ポイントツーポイント回線向き・Ethernetでは非推奨(ARP増加) | ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 GigabitEthernet0/0 |
| 再帰接続(Recursive Static Route) | ネクストホップIPアドレスのみを指定する方式 | ネクストホップIP | ・ルータが再帰的に経路探索・最も一般的・LAN環境でよく使用 | ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 10.0.0.2 |
| 完全接続(Fully Specified Static Route) | 出力インターフェースとネクストホップIPの両方を指定 | IF + ネクストホップIP | ・ARPの無駄な送信を防止・Ethernet環境で最も安全・設定はやや冗長 | ip route 192.168.2.0 255.255.255.0 GigabitEthernet0/0 10.0.0.2 |
🔍 各ルーティング方式の補足解説
● 直接接続ルーティング
- ルータは指定されたインターフェースから即座にパケットを送出
- シリアル回線などの1対1接続で有効
- Ethernet環境では、宛先MACを探すために全ARP送信が発生するため注意
● 再帰接続ルーティング
- 宛先ネットワーク → ネクストホップIP → そのIPへの経路
という形で再帰的にルーティングテーブルを参照 - 最も一般的で、CCNA試験で頻出
● 完全接続ルーティング
- ネクストホップIPと出力IFが明示されるため、
ルータは即座に転送処理が可能 - 再帰探索が不要、ARPも最小限
- ベストプラクティスとして推奨されるケースが多い
3. ダイナミックルート(自動学習)
ルーティングプロトコルを用いて、ルーター同士が経路情報を自動的に交換し、最適な経路を学習して登録するルートです。
| メリット | デメリット |
| ✅ ネットワークの変更に柔軟に対応でき、手間がかからない。 | ❌ ルーティングプロトコルの知識が必要。 |
| ❌ ルーティング情報の処理にCPUやメモリ負荷がかかる。 | |
| ❌ 意図しない経路の学習により、セキュリティ面で弱くなる可能性。 | |
| ❌ 経路を安定させるための**収束時間(コンバージェンス)**が必要。 |
🔄ルーティングプロトコル:経路を自動で決める仕組み
ダイナミックルートを実現するのが、ルーティングプロトコルです。これは「どのようにルーティングするか」のルールを定めたものです。
経路の選択方法(経路制御アルゴリズム)には、主に以下の2種類があります。
A. リンクステート型 (Link-State)
| 特徴と実現方法 | プロトコル例 | メトリック(判断基準) |
| **LSA(Link State Advertisement)**というリンク情報(帯域幅、コストなど)を交換し、ルーターが独自でネットワークのトポロジーマップ(地図)を形成する。 | OSPF | コスト(帯域幅を基に算出) |
| 大規模ネットワークで利用され、コンバージェンス(収束)が早い。 |
B. ディスタンスベクター型 (Distance-Vector)
隣接するルーターとルーティングテーブル全体を交換し、**距離(ディスタンス)と方向(ベクトル)**に基づいて経路を決定します。
| 特徴と実現方法 | プロトコル例 | メトリック(判断基準) |
| **距離(ホップ数など)**が小さいものを最適経路とする。 | RIP | ホップ数(経由するルーターの数) |
| シンプルで分かりやすい。帯域幅を考慮しないため、必ずしも最速ではない。ルーターが増えるとコンバージェンスに時間がかかる。 |
| 特徴と実現方法 | プロトコル例 | メトリック(判断基準) |
| **距離(ホップ数など)**が小さいものを最適経路とする。 | RIP | ホップ数(経由するルーターの数) |
| シンプルで分かりやすい。帯域幅を考慮しないため、必ずしも最速ではない。ルーターが増えるとコンバージェンスに時間がかかる。 |
💡ハイブリッド型
ディスタンスベクター型とリンクステート型の良いところを組み合わせたものです。
- プロトコル名:EIGRP (シスコ独自のプロトコル)
- メトリック:帯域幅と遅延数
メトリックとコンバージェンスの用語解説
- メトリック:ルーティングプロトコルが最適な経路を選択するための判断基準(例:ホップ数、コスト、遅延)。
- コンバージェンス(収束):ルーティングプロトコルにより、ルーター間で情報交換が行われ、ネットワーク全体で経路情報が安定・統合されるのにかかる時間。
🚪デフォルトルートとブロードキャストドメイン
1. デフォルトルート
ルーティングテーブルに該当する送信先IPアドレスがない場合にパケットを送信するルートです。
- アドレス:
0.0.0.0/0で表現され、主にインターネットなどの外部へパケットを送り出すために使われます。 - 別名:ラストリゾートゲートウェイ(パケットを転送する最終手段)。
2. ブロードキャストドメイン
ブロードキャスト(ネットワーク上の全員宛ての通信)が届く範囲のことです。
- スイッチ:ブロードキャストはスイッチに接続された全てのポートに転送されます。つまり、スイッチで接続された範囲全体が一つのブロードキャストドメインになります。
- ルーター:ルーターはブロードキャストを通過させません。そのため、ルーターはブロードキャストドメインの境界となり、ルーターのインターフェース(ポート)ごとにブロードキャストドメインが分かれます。
ルーティングテーブルは、インターネットの正確なデータ伝送を支える心臓部です。この仕組みを理解することで、ネットワークの仕組みがより深く理解できます。



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